
強いマッサージは絶対ダメ!?
強い刺激のマッサージを求めるクライアント様は多いですよね。
しかしそれと同時に、そのマッサージによる効果でコリがなくなったという声は聞いたことがありません。
その場では、すごくスッキリとしてコリが解消された様な気分になりますが、翌日にはもみ返しがきたり、コリもすぐ戻ってしまうという声はよく聞きます。
ではなぜその場ではスッキリとするのでしょうか?
DNIC:痛みを痛みで一時的に消す
DNIC:広汎性侵害抑制調節という理論が関係してきます。
痛みを与えることで、元々あった痛みが一時的に感じなくなる現象のことを指します。
一時的に痛みが減るだけであって、根本は何も変わっていません。意識的なフォーカスが新しく加わった痛みに行くだけで、その刺激がなくなればまた元の痛みの箇所に意識が戻ります。
そして、実はDNICによる刺激を利用する徒手療法では、痛みが悪化してしまいます。
皮神経・血管を傷つける
強いマッサージにより、神経や血管を損傷させる可能性があります。
それにより神経の炎症が強くなり、痛みを感じやすくなったり、痛みの範囲が広がることがあります。
強い刺激はコリを増強させる
コリというのは、逃避反射(屈曲反射)によってできます。
つまり強い刺激(侵害刺激)が入力されると脳は、刺激を受けた場所を守ろうとするため更に筋肉(コリ)を硬くします。
そして強い刺激は交感神経を優位にしてしまいます。
そのため神経系の感作が強くなったり、神経に栄養が行き渡らずに触れるだけで痛みを感じたりします。
逆に筋肉の剛性が高くなりすぎて、痛みに対する感覚が鈍くなり、痛気持ちいい・もっと強く押してという風になります。
しかし強い刺激は組織(神経や血管など)が損傷し逃避反射が起き、コリが形成、交感神経も優位になり感作が敏感になる。そうすると痛みの範囲が広く、場所が移動したり、痛みが強く出やすくなります。ただクライアント様は外からの刺激には鈍感になるため、負のループが延々と続くのです。
横紋筋融解症
強いマッサージで身体が余計に痛くなり、だるくなる場合は、筋肉が溶けている可能性があります。
横紋筋融解症といい、激しいスポーツなどで起こります。横紋筋とは普通に言う筋肉のことです。
筋肉に対し強いマッサージを行うことで筋線維が損傷し、少しとけて血中に流れ出し、腎臓に負担を与えます。
症状としては「筋肉痛、脱力感、痛み」など揉み返しと同じ症状が表れます。
つまり、コリが無くなったのは、強い刺激により筋肉が溶けた可能性があるという事です。
まとめ
強いマッサージが好きな方が、気持ち良さを感じていても、けっして身体にとって良いことではありません。
特に痛気持ちいいという「痛み」の感覚がある場合は、より身体は緊張し、自律神経の交感神経も興奮してしまいます。気持ちいいという繰り返し受けたくなる要素もあるから、なおさら危険です。
強いマッサージから、低刺激の身体に良い施術に移行するには、2-3ヶ月という時間はかかります。
なぜなら、脳を教育し直さなければいけないからです。
そして、感覚を良い意味で鋭くして、優しい力加減の差を感じられるようにする練習期間が必要です。
つまり、快楽モデルか、鎮痛モデルかという事です。
強いマッサージは快楽モデルであって、鎮痛モデルではありません。
ペインサイエンスを取り入れた徒手療法は鎮痛モデルです。